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[コメント] 悪い奴ほどよく眠る(1960/日)

電信柱の影の君。ところどころのユーモアがいい。だから巨悪のシッポのセリフにすらクスリ笑ってしまう(おやすみなさい)。スパッと終わってキレもよいです。
カフカのすあま

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「終」の文字がばーん、と迫力。 思わず客席から「んふ」という笑いが漏れる。 「やりやがったなこのやろう」という笑い。

電信柱の一件はもう、「巨人の星」的というか図式的というか。「ミフネ先生、その顔はないだろう」とは思いながらも、ビルの7階からよわっちい悪人の両足を掴んで宙吊りにしたあと「ただのウィスキーだよ」とか抜かせるこのオトコにぐいぐい引き込まれてしまう。

でも、無理やり「憎しみ」を維持しようとしていたりして。「なんかヘンだぜ」。

個人的な復讐と、巨悪に立ち向かおうという向こう見ずな正義感とが、綯いまぜで、ぐるぐる巻きになっているから、あれよあれよと引き込まれる。気が弱そうな幽霊おやじ白山(でも腹はドス黒い)。まさに焼け跡に生える雑草のような強さを持ったオリジナル「西」(板倉:やっていることは「悪」だが正義感も友情も強い)。息子にすら「悪人」呼ばわりされる魑魅魍魎の巨悪のシッポのたぬきオヤジ岩淵(悪人のくせに白いエプロンしてバーベキューなんかしちゃう)。人のよさそうな顔をしているくせに「若い女を抱くに限りますな、ハッハッハ」などという言葉は吐くは、小金を貯め込むわの守山。

なんか、みんな一筋縄ではいかないヤツらばかりなのだ。

で、不思議なことに、たぬきオヤジが送られてきたクスリを薬匙ですくったあと、「とんとん」と少しずつ量を減らしてしまうと、観ているこっちはホッとしてしまったりもするのである。そこで致死量を飲んじゃダメなのよ。

やはり、世の中白黒ハッキリと分割することなどできませんな。

(評価:★4)

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