[コメント] 恐怖の岬(1962/米)
黒い鉄柵や藪の下草ごしに「見る」目線と「見られる」目線が交叉する。見えそうで見えない事の行方。不自由であることが想像力をそそり、恐怖の負荷をもち上げる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ベッドルームの暴力も、実際には何も写らないのにベッドの黒いポールごしに彼女の姿が映るだけでぞわぞわする。
そして大団円。この負荷がいきなりピーク近くまで上がるのだ。
ケイディ(ミッチャム)が弁護士センセイ(ペック)の奥さんのボートを係留から放す。こうして獲物をまんまと「オリ」の中に追い込んだ上で、奥さんを隅に追い込み、震え上がらせる。そこでなんと、「ぷしっ」て片手で何かをつぶすのだよ(卵?)。このワンシーンが「一生忘れないまじこええ箱」の中にとっておきたいくらい、心理的にくる。しかも、次の瞬間、曲げた腕で奥さんの胸元をなでおろす。そう、つかみかかるのではなくて、「じわじわ」。涙でそう。蛇とかイタチにみつめられて足がすくんで逃げられなくなった一匹のねずみになった気分。
リメイクから先にみてしまったので、大団円の違いがずいぶんと目に付いた。あちらはスパッと退治するけれど、こちらはケイディの言葉を繰り返し、殺してくれというケイディに弁護士ペックが「そんなのは簡単すぎる。もっとじっくり時間をかけて復讐してやる」という。こちらのほうがドラマだと思う。
公開当時はかなり大幅なカットが余儀なくされたらしいですが、分かる気がします。
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