[コメント] KAFKA 迷宮の悪夢(1991/米)
自分が存在する世界との和解の仕方には幾通りかある。端麗辛口のジェレミー・アイアンズでこのカフカは成功。
カフカは存命中、作家としては花咲かず、実際に労働者保障保険局(だっけ?)に 10 年だか勤務していたそうだ。この映画は事実に基づいているけど、まったくのウソ、つくり話。そこがいい。
カフカはかなりとんちがきいた作家だと思う。「難解」とか「理解不能」なんていう誉め言葉も多い。「虫になった男」の話は、まちがいなく当時「なにばかなこと言って」と一笑に付されただろうし。でも、現在カフカには「哲学的」という解釈がついてまわることも確か。
ソダーバーグはそんなカフカのイメージを逆手にとって、さらに鮮やかな手法で映画にうまくまとめてしまった。「思わせぶり」なんかに陥らず、ちゃんと「和解」を配置してる。そこが「あなどれん、ソダーバーグ」だと思う。えらいぞ。
全篇に漂うインクのような黒い色は、重いプラハの雰囲気。アシスタントのコンビはしかるべきところでクラウンの役割をしっかりこなしていて最高なのだが、息抜きのお笑い:コミックレリーフは見事に上滑り。こういうところでブラックな笑いがとれてたら5点満点だったのに、残念。
でも後味は爽やかな一編なんである。後味とは、「腑に落ちるかどうか」が決め手!これはストーンと来る。
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