最近浅野忠信が気になっていているので、書いときます。曖昧な言い方は承知ですが、やはり良いのは「たたずまい」ですね。よく「目の演技」などと言いますが、ほとんどアップがなく前髪で隠されたこの映画で彼の眼球は確認出来ないんです。話は突然変わりますが、昨晩ＮＨＫで渡部篤郎が「完全に役になりきった事は無い」と言っていました。おそらくロバート・デ・ニーロあたりの神話的演技ばなしを想定しての言葉でしょうか。「自分」がいなくなるなんて有り得ないという趣旨の発言もありました。がっかりですね。やはり彼は目で演技したい人です。佐藤浩一もそう。彼のお父さんもそうでした。そういった否定文では「役になり切る」という価値観を裏で支えている事にしかならないじゃないですか。ダメですよそんなツマラナイ事言ってちゃ。意欲的な俳優だということは十分承知ですが。俳優って大変ですね。語ってしまうと貶されるなんて。浅野忠信は演技を語らないですね。ずるいのだか何だか知りませんが。監督によっては語らせたがる人もいるみたいですが、この映画では彼の「語らない」良さが発揮できていたと思います。５にしても良いくらいですが、ほんのちょっと監督の頭が良すぎた。なんて、監督も大変だ。頭の良さをマイナスにカウントする奴がいるなんて。浅野忠信の眼球を撮らなかった監督には賛辞を惜しみませんが、ホシヒコさんの言うとおり処女作にしてはすこぶる「周到」で、その「周到」さをイジメたくなる気分でしょうか。しかし目の離せない監督には違いないです。