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[コメント] ガーゴイル(2001/仏=独=日)

純粋な情欲への哀歌。彼らの苦悩は、私たちの苦悩でもある。
hk

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







情欲とは本来、後先考えず、我を失い、相手を食い殺すほどの衝動であるが、社会的存在である私たちは、それを抑え込む形でしか欲望を果たしえない。これは人間に限らず、多くの生物・動物にあてはまる。つまり、私たちは捩れた形(普通のSEX)で情欲を処理するしかない。

脳の異常(?)により、情欲の抑圧が不可能になってしまった者は、文字通り、相手を食い殺す。それに私たちが嫌悪を覚えるとすれば、本来の情欲が解き放たれていることへの羨望の気持ちすらも捩れた形で受け止めなければならないからである。

この映画は、吸血鬼や怪物といった特殊な形態を用いるのではなく、敢えて、普通の人間(人体実験を施したという違いはある)を主人公に迎えることで、異常性を抱え込むことの苦悩と、愛する(LOVE)がゆえに愛し合う(MAKING LOVE)ことができない情欲の不条理性を、私たちが無意識に抱え込んでいる根源的な問題として提示したかったからではないか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)町田[*]

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