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[コメント] ダンサー(2000/仏)

とにかくいろんな意味で腑に落ちない映画。そしてとても痛々しい。
まゆ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







GO』、『アイ・アム・サム』を見て以来、映画の中に描かれる差別について考える私。この映画は『アイ・アム・サム』を見た後、“障害者の厳しい現実が描ききれていない”という思いがあり、手にした映画だった。

実際、『アイ・アム・サム』の時のような、“愛があれば大丈夫なのよ、すべては愛なのよ”というようなおめでたい社会は描かれていなくて、障害者を取り巻く厳しい現実は描かれている。しかし、最後が納得できない。アイザックの作った機械を使うことによって、インディアは障害を乗り越えた(乗り越えかけている)ように描かれているが、果たしてそれが、今の障害者差別の問題解決に必要なことだろうか?差別というのはマイノリティ側の人間だけがどんなに頑張っても意味がないと私は思っている。マジョリティ側の人間の意識を変えなければ・・・と思うのである。その意味で、これは差別の本質を描いてないし、機械がないと意味がないものならば、障害者差別の問題も全く乗り越えていない。

また、インディアのダンスをひとつの芸術としてみて、そのままのダンスを認めてくれるラストシーンを期待していた私としては、非常に残念なラストだった。音を作り出すダンスというのも新しい芸術といえるかもしれないが、彼女のダンスはもともとすばらしい芸術としての価値があったはず。最後のダンスが私にそれでもよしと言わせるほどの迫力がなかったとも言えるが・・・。

かといってアイザックの研究が不必要なものというわけではない。障害者と健常者がともに暮らしていくためには、とても有意義な研究だと思う。ただし、研究は目的や社会の要請があってスタートするものじゃないの?って思う私としては、何の目的意識ももたず、ただひたすら機械を作っていたアイザックはバカ男にしか見えない。インディアと出会わなければ、あんた一体どうするつもりだったの???

とにかく社会の都合に合わせて変わっていくインディアと彼女のダンスが見ていて痛々しかった。そして、バカ男アイザックもイタかった。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Myurakz[*]

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