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[コメント] 小説家を見つけたら(2000/英=米)

16歳の若者の仲間意識、周りからの評価と自分が本当にやりたいこととのズレ。そんな中から自分の生き方を見つめていく過程が見事。
まゆ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 携帯電話をもっていないと友達ができにくいから携帯電話を持つ今の高校生のような感覚で、バスケをやっていないと友達から認められないからバスケを練習するジャマール。でも、本当は文を書くことが好きなことを誰にも言えない。本当の自分を明かせない友達関係。なんだか、メールにストレスを感じていながらも、せざるを得ない、携帯を手放すことができない女子高校生のような。でも、自分の気持ちに正直に道を選択したジャマールを前の学校の友達にも認めてもらえた・・・ということが、救われました。

 好きな場面は2箇所あります。(いや、もっとかも・・・)でも、特に好きなのは2箇所。

 1つは、ジャマールがバスケの決勝での最後のフリースロー2本を外すところ。彼にとって、学校に残って勉強したい気持ちはあったはず。だけど、バスケの選手としての自分ではなく、文を書くという面で認めてもらいたかった。そちらのほうで、がんばっていきたい、ここで道を選びたくない、決められたくない、学校に行けなくなってもそれはそれで仕方ない・・・・とまで思ったかどうかは分かりませんが、やはり、わざと外したんだと思う。それは、彼の物書きとして生きるという意思表示でもあるわけで。友達に流されていた16歳の若者が、こうして1人の小説家とのやり取りを通して、自分の道を選んでいけたっていうところに感動しました。

 それから、それを受けて、50年間1人で外に出たことがなかった小説家ウィリアムが、自転車のタイヤに空気を入れ、自転車で走り出すところ。これが、 50年ぶりの自転車なもんだから、平気で車道を手信号で走ってる姿が、感動する場面ではあるんだけれども、なんとも滑稽。涙しながら笑っちゃうような。でも、そんな中にもやはり、ウィリアムの「ジャマールを救わなきゃ」という気持ちがあの堂々とした自転車の走りに出ていて、やっぱりサイコーです。

 そして、最後の演説シーンももちろん、最高です。本当によい映画でした。

(評価:★5)

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