[コメント] ロスト・ハイウェイ(1997/米)
黒いマニキュア、白いマニキュア、銀のマニキュア・・。前に会いましたね?
導入部だけなら5点。部屋の影の部分を、黒沢清のような「底なしダーク」に染め上げていてゾクゾクする。「ツインピークス」のあの市松模様の床と赤い緞帳カーテンの部屋の世界がそのまま展開されているかのような不条理な狂気。
しかし、中盤から話が転がりだすと、暴力描写を交えて「ブルーベルベット」的にストーリーが成り立ってしまい(成り立ってるのか?これでも)、得意の挿入歌で盛り上がったりしてさらに落胆。いや、音楽のセンスも良いと思いますよ。ナイン・インチ・ネイルズとかも好きだし。それでも、パダラメンティさん一色で、その上に映像ありきでやって欲しかった。
ミスキャストだと思ったのはパトリシア・アークエット。悪女な感じは出せると思うが、それにプラス「この世のものでない何か」が足りない。それって何よ?と言われても説明できないが、ムッチリグラマーなボディや垢抜けない顔立ちがかなり場違いな感じ。
全体にキャラ描写が薄いので「変態合戦」が少なめなのも残念。ロバート・ロッジアだけはベンツ爆走でキレたキャラ立ちだが、酸素吸入するデニス・ホッパーにはかなわない。リンチ映画常連の整備士のオヤジも見せ場ないし、ゲーリー・ビジーも全然変態じゃなかった。
というわけで、その分「ミステリーマン」的なロバート・ブレイクがひとりで持っていっちゃってるわけだが、「ローラ・パーマー」と同じでパターン化もしくはいいとこ取りな感が否めない。
ストーリーの理解不能はいっこうに構わないが、中盤以降はスピード感が増したのと反比例して、神経を逆なでするような異端のオーラが目減りした。
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