かなりナメてる映画。ボケのかまし方が淡々として良いです。カットの切り替えのタイミングがオフビートで絶妙。役者も淡々としてあまり力入ってないのが楽しい。ベネチア映画祭の事務方仕切ってるというオッサンがちょっとオーバーで浮いてた。

発想が頭抜けていて、この時点で勝ちなのだが、氷の上で右往左往するという笑い以外に広がりが持てないのも難点。そー言いつつも次々に人が氷上に降り立ってはもがく様を見てるだけで笑っちゃうんだけど。

映画製作を題材にしてるので、カメラを回してる様子をカメラに収めるというややこしい図式。ホッケー試合場面で、レールを走らせたカメラ（劇中）を反対側から、これもレールを走らせて撮影しているという面白さ。

映画製作現場の内幕が覗けるのも興味を引く。 これだけ映画製作がシステマチックになっちゃうと、役割分担が限りなく専業化されて、中には食事ケータリングやロケバスの運転手とか直接映画に接点ない人もたくさんいる。でも、そういった現場内外の人達が滞り無く機能してやっと映画が出来上がるという、複雑化したややこしさを風刺してるきらいもある。

一握りの人のわがまま（主に演出家と役者）で、現場の段取りがもろくも崩れて振り回されてしまうというオソロシさも、かつて映像製作の末端のスタッフとして現場に身を置いたことがある私には、笑ったり笑えなかったり。

この映画、実際にベネチア映画祭に出品したんでしょうか？