[コメント] 8 Mile(2002/米=独)
アーチストの自伝的映画というと『パープル・レイン』を思い出すが、こっちの方がさらにイマドキでストリートの閉塞感が息苦しい。ニガーたちから差別される白人という状況もツライ。
なぜか監督はカーティス・ハンソン。日本でいえば市川昆が「ビーバップ〜」を撮っているようなものか?「バトルロワイヤル」ほど若者ぶった違和感はなく、むしろ一昔前の「ボーイズン・ザ・フッド」とか「フライデイ」あたりと遜色ないストリートっぽさ。ハンドカメラの多用やMTV風編集などは無く、普通な手堅い演出という印象。半自伝(今となってはスーパーリッチだが)という先入観も手伝って、ファッキンシットな状況の連続にぐぐっと感情移入してしまう。
しかし、昔からとはいえ、ストリートのライミングが相手を罵倒するディス合戦なのは寂しい。普段はほとんど意味わからずヒップホップを聴いているが、こうして字幕で「坊やオシッコもらすなよ!」「おまえの母さんなんたらかんたら・・」とか臆面もなく繰り広げられると情けなくなってくる。それに熱狂するオーディエンスにも醒める。
エミネムのラップは、韻を踏みまくるライムはかっこいいが、ラップのスキルはたいしたことないので、ニガー好きの自分にはあまり響かなかった。そのかわり劇中で鳴りまくるサントラにやられっぱなし。オープニングのモブ・ディープからしてやってくれます!それと劇中出てくるラッパーたちも良かった。もちろん現役なんだろうけど、オッサンのワシにはXzibitしかわかんなかった。彼ってデトロイト?
演技的にはもちろんエミネムが良かったが、仲間の脇役たちがアホなジョークかましたりケンカしたりで、うまく状況設定していたと思う。「サウンド・オブ・サイレンス」の天然女、ブリタニー・マーフィーは、いかにもなストーリー上の色添えと興行上のバランス的な白人ビッチで浮いている。この出で立ちでヒップホップはないだろう。
既成の音楽を打破するはずだったヒップホップも、もはや様式化してしまい、売れ線も「オレ自慢ハスラー」か「ストリート暴力系」にパターン化。でも好きなんだから困ったなぁ。ちなみに最近聴いてるのはNasとPete Rock。このサントラ盤も好きなやついっぱいいた。
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