Kavalierさんの云うようなことは、鑑賞中に私も感じていた。DVDで観賞後に視た、特典映像についていた監督の来日会見でも、監督が自分の属する集団の、晴らし切れない「怨み」を抱えていることが感じられた。しかし、若く情熱的な監督は、上手く自制したと思う。なにせ、これは人間が創った映画なんだ。

兄の知人にセルビア人がいて、兄は開戦前(？)に彼の家に遊びにいったそうだ。その知人にはかつて恋人がいて、そのひとはボスニア人だったそうだ。私はそのひと達の詳細を一切知らないが、事実である。

NYのツインタワーが崩れたとき、実は最初に脳裏に浮かんだのは、窓ガラスが割れ炎上した連邦議会ビル(?)がぽつんと残されたサラエボの光景だった。オリンピックの時か、ビルがまだ綺麗な時の映像を覚えていた私は、NYの惨状よりも寧ろ隣近所で殲滅し合う内戦の恐ろしさを思い出していた。