見終わって普通なら感じるような「最後に良い所をかっさらって行った感」は無かった。それはチャウ・シンチーの性根が男前だからだったんだろうな。

この人のセンスは尋常じゃない。それは、俺と次元の違う尋常の無さ−ではなくって、俺と同じ次元に居ながら、そのセンスの統率力というか表現力が並外れている。等身大のスーパーヒーローってやつか。だから共感を呼び映画と一体になれる。そして最後に爽快感と優しい気持ちまでプレゼントしてくれた。お洒落なやつだよまったく。

チャップリン、マトリックス、シャイニングなど数々のパロディも、その口当たりの良さに驚かされる。本当に映画が好きなんだねって思うし、期待しないで入ったレストランで、とんでもない料理をサラッと食べさせられた感じ。おばちゃんとの追いかけっこにいたっては、走る足の動きから看板にぶつかるとこまでディズニーのアニメそのものやっちまいやがった。とてもじゃないがスピルバーグにはここまで出来ないだろうよ。

マトリックスはしちめんどくさい理屈や説明が必要。でもこれはカンフーの達人−その言葉で充分。こういうの「理屈抜きに楽しい」って言うんだなぁ。 楽しくって素敵な映画をありがとう！