まずはじめに、この映画、音楽がいいんです。

環境音楽です。何も考えない、感じる映画。こういう映画が自然に表現されるって素敵なことですね。

それと、カメラの位置がいいんです。長まわしでずっと据え置かれているカメラ。まるで小津安二郎の映画のような静けさですね。いいですね。（言いすぎ？）

そういう抽象表現もさることながら、所詮、美大のお話ですので、つまりは何でもあり。そしてそれは超感情的でありながらクール。執着心なし。利己主義の塊のようなこの世界は、知る人ぞ知る正に美大生のお話ですね。

紫門ふみさんの『ＰＳ元気です俊平』という漫画を思い出します。

あれは美大のお話ではありませんでしたが、やはり年上の女性に翻弄させられる学生のお話。展開は何でもあり。あの世界に少し憧れた時期もありました。

でも人間てなんでこうなんでしょう。

自己の奥不覚に陶酔する何かがあって、それを否定する男女関係。そしてその現実を認識して冷静でありながら感情的な対応をしてしまう自分。

いいですね。これぞ人間。

2009/11/02