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[コメント] 夜明け前(1953/日)

利用されるだけ利用され大願成就の後は早々に忘れ去られ、何も得るところの無い、いやむしろ以前よりも窮迫してしまったこの悲運の宿場町は、その最後の本陣家長となった青山半蔵の人生そのもの。
町田

英雄達が全国を飛び回ることで巻き起こった維新の嵐を、ただ一つの山村を舞台に、たた一人の凡人を主人公に描き切った島崎藤村の原作の素晴らしさにばかり目が行ってしまったのだが、これは勿論自分が長大な原作を未読であるからであります。

古い映画なので画面が暗く音声も聞き取りずらいので前半はかなり苦労した。北林谷栄の婆と美しい木曽の風景くらしか見所はなかったと思う。盛り上がるのは天狗党の登場以降、滝沢修が実際に行動を起こす辺りから。乙羽信子の登場する維新後は更に盛り上がり、終盤に於ける滝沢の狂人演技には「これが数時間前のあの青年と同一人物なのか」と目を疑いたくなる程見事なものであった。

(評価:★3)

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