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[コメント] タンゴ・レッスン(1997/英=仏)

サリー・ポッターが画面に出ずっぱりのため殆どロビー・ミューラー監督状態。んなこといったら本人嫌がるだろうけど。クレジットありませんがヨー・ヨーマの参加のサントラ、力強くていいですね。
町田

サリー・ポッターは若い頃から本格的に打ち込んできたというだけあって流石にダンスは巧いが映画監督としては間違いなく世界最低レベルに属するんじゃないかな。赤み掛かったモノクロ映像や色彩豊な空想シーンなど、それ自体の美しさは素晴らしいが、明確な演出意図というものがイマイチ感じられず、同じロビー・ミューラー撮影監督の『ベルリン 天使の詩』を表面的になぞっただけという印象を受ける。映画監督には独創的な想像力か、若しくは論理的思考力が絶対必要と思っているが、そのどちらも持ち合わせていない彼女が単独で監督・脚本を手掛けること自体がパートナーを重んじるべき「タンゴ」の精神に反する気がしないでもない。

いいシーンはある。その殆どはダンスシーンであった。船の逆光も美しいセーヌ河岸でのさりげないタンゴや、マンションで見せたパブロの愉快なタップダンス、4人が絡み合う終盤のダンスシーンなどには「そっと力強く、ゆっくり素早い」タンゴの魅力が満ち満ちていたと思う。

ラストシーンに於ける主演二人の会話「根無し草なのが怖い」云々は5年前に劇場で観たときから記憶に深く食い込んでいたが、それは僕にハッキリとした生まれ故郷が存在しないからだろう。ユダヤ人、サリー・ポッターが作品中で語った唯一の本音だろう。このテーマは次作『耳に残るは君の歌声』でも引き続き使用される。

(評価:★3)

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