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[コメント] 燃える秋(1978/日)

あんな美人に残された選択肢が「優しいけど痛い」北大路と「巧いけど冷たい」佐分利という極端な二人に絞られている、ってのがなんだか可笑しいけど。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







女性のセックス依存に纏わる物語がペルシャ絨毯、イランへと広がって行く構成は意外性満天だし、50・60年代に安部公房が”脱出不能の壁”として描いた「砂漠」を肉欲(男性依存)からの解放の象徴に用いたのも目鱗。

ただ、真野と北大路が空港で喧嘩してからラストへの流れは余りにも強引で、時代が押し付けたフェミニズムという感じがして余り好きになれない。これは原作ではどうなのだろう?

映画としては編集段階で起ったと思われる僅かな破綻と、時代に迎合した武満徹の音楽及び主題歌に目を瞑れば、あとは実に良く出来ている。いやらしい言い方になるが本作のフェチシズム映画としての興奮度は相当のものであり、そういう意味では本作を小林正樹版『アイズ・ワイド・シャット』と呼ぶのは間違いでないと思う。

値の張りそうな美術品、ドキュメンタリ出身の岡崎宏三によるイランの空撮などは映画ファンならずとも一見の価値あり、です。

(評価:★3)

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