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[コメント] マイノリティ・リポート(2002/米)

とことん「ユメの無い」家族がイヤと言うほど登場するあたり、スピルバーグの歪んだ個人的思念が練り込まれてそうで不快(『A.I.』に似た胸糞の悪さ)。まさか映画を自分のウサ晴らしの道具にしてるんじゃあ...。悪趣味極まりない描写にワクワクしないアクション。アカンわ、こりゃ。
Ryu-Zen

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







スピルバーグは「家族」をなんだと思ってるんだろう?

「ママ以外の全てはどーでもいいのさ。え、パパ?...知らねーよ」とのたまった悪名高き前作『A.I.』によく似た胸糞の悪さが本作でも見られる。冒頭、犯罪予防局の活躍を見せるために「夫婦間の争い」をわざわざ持ってくるあたりから、すでにその兆候はバリバリ。以後、息子を救えずヤク中になる父親やら激しい口ゲンカを繰り広げる老夫婦etc...冷め切った関係、耐えぬ争い、哀しく醜い夫婦や家庭がイヤと言うほど登場する。父親(黒幕)、母親(アガサの母)、子供(アンダートンの息子)と、家庭に属する人間を無残にも殺したりと....なんちゅー悪趣味!家庭に夢や希望を抱く人が見たら、いっぺんにブチ壊しだ。

父を信用しないのは勝手だが、映画でウサ晴らしすんな、と。

母に執着するのは勝手だが、いつまでも理想の母の幻影を追いかけるな、と。

A.I.』ほどではないものの「これって監督のワガママで超・個人的な感情じゃねえのか?」みたいな描写がいちいちカンに障ってイライラさせられる。子供みたいな幼稚さ。ええ加減、もうウンザリじゃ。ユメの無い映画を撮ると、こんなにも悪趣味な監督に成り果てるとは、幻滅もいいとこ。

圧倒的な近未来映像は確かにすごい。これだけでスピルバーグがいかに力のある監督かが良くわかると思う。でも誉めたいのはそこだけ。サスペンスにはちっともドキドキせず、予防局の連中との追っかけっこなんて「やる気あんのかよ?」と言いたいほど覇気の無い演出ぶり。こんな興奮しないアクションシーンなど見たくないぞ、スピルバーグ。

首を傾げたくなるような映画を立て続けに二本も撮るとは...

とりあえずコレと『A.I.』はフィルモグラフィから外していいと思う。

なんてユメの無い映画だろう...。

(評価:★2)

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