[コメント] 墨東綺譚(1960/日)
順平(芥川比呂志)を手玉に取る商売女お雪(山本富士子)の甘えて語尾を少し上げた口跡が、徐々に“おんな”の恋心の発露へと変化し無性に愛おしくなる。高熱に耐えながら男の顔が二重、いや何重にも見えるという女のうわ言に“真実”が透けて浮かび、切ない。
男なんてそんなものだ、という順平(芥川)の同僚教師(東野英治郎)の言葉に、順平の妻(新珠三千代)はすんなり納得してしまう。昭和13年(1936年)。不況下、前年には日中開戦、「国家総動員法」成立。夫の離職や離婚などという選択は、この妻にはあってはならない「現実」だったのだろう。
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