[コメント] なれのはて(2021/日)
4人の“困窮邦人”がこの地に至った経緯は各々違えど、おそらく働き盛りにバブルニッポンの空騒ぎの洗礼を受けた人なら「さもありなん」と納得できたりする。救いは皆さん人生の晩節を迎えても(とりあえずカメラの前では)さしたる悲壮感なくお過ごしだったこと。
4人とも、打たれ強そうで、状況を受け入れ、素直に居直れる人なのだろう。きっといい意味で強力な「鈍感力」の持ち主なのだ。地元女性と暮らす二人なんか、身なりはさえない初老の域にあっても、根っからの「ダメンズ的なモテ男臭」をいまでも漂わせている。若いころは、ニッポンやフィリピンの夜の繁華街でさぞやブイブイいわせていたに違いない。
あと印象に残るのは、フィリピン製作の『ローサは密告された』(2016)を観たときにも感じたのだが、フィリピンの人たちの日本人とは少し違う感覚の義理深さと人情味だ。4人の“困窮邦人”に対する地元の人々の「必要以上に干渉しないルーズさ」と、その裏返しとして一転金銭が介入したときの「優しさや面倒みの良さ」の徹底ぶりだ。その“豹変”ぶりは独特の金銭感覚に裏づけされたもので、我々日本人からすると「がめつい拝金主義」にみえるのだが、彼らにとっては生活することに対しての素直で正直な感情の発露なのだと思う。その感覚に(鈍感力で)慣れてしまえば、相応の金銭しだいで無心の献身的介護が得られる分けで、どうせ「なれのはて」ならニッポンの介護制度などよりあっちのほが・・・。あくまでも鈍感力が必要ですが。
そんなことを考えた。
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