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[コメント] ブラウン・バニー(2003/米=日)

これは本当に救いようのない映画なのか。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







始まってすぐこの映画つまらんかも…と直感し、それは結局最後には本当の事になってしまいました。唖然というか呆然というか頭真っ白というか…。それなのに家に向かって走らせる車の中でどよどよとラストシーンの真意みたいなものをずっと考える自分がいる。 アレは一体何だったのか、ギャロの真意は何だったのか・・・。

私の出した結論はこうです。ラスト、デイジーがまぼろしのように現れたアレは単なるバドの妄想ではないと思うのです。始終バドの目線で物語は進むのだけれど、あのラストシーン、あれだけはデイジーの目線ではないだろうかと、そう思うのです。

「バッファロー'66」ではレイラという女はビリーにとって「救い」です。ではこの「ブラウンバニー」ではどうなのか。多分、ギャロの中で「女」という生き物が「救い」であるのは同じだと思います。「バッファロー'66」にしても「ブラウンバニー」にしても。ただ、救える立場にいるか否か。そこが違うというだけで。

私は当然女の目線でギャロの映画を見ている訳なので、どうしても女の心情を察してしまいます。どうしようもないバカ男、それでも好きになってしまった男。バカであればあるほど助けたくなる心情は手に取るように分かります。デイジーは生きながら苦しむバドを少しでも救いたかった、そうなんだと思います。ラストの単なるポルノだと罵られたシーン。私はあれがデイジーの「救い」の形だったのだと思うのです。レイラのようにビリーの傍にいて「救う」事が出来ないデイジー。あれがデイジーの精一杯だったのだと思うのです。

エンドクレジットの無音がものすごく怖かった。あまりに救いのない映画に思えて、立ちあがる事すら怖かった。それでも車を走らせながら思ったのです。バドは朝目覚めて、そこからしっかり自分の足で歩いていけるだろうな、と。

見終わった後は、前半のしつこいくらいのかったるい映像と、ラストのあまりの衝撃にいい感情を持てなかったのが本音ですが、後になればなるほど何かぐわーっと心に迫ってきて、結局やっぱりギャロの映画って好き…という結果になりました。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ざいあす[*] ホッチkiss[*]

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