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[コメント] お遊さま(1951/日)

溝口健二にしては非常に覚束ない、地に足ついていない印象の作品。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ハッキリ言って3人の思いが全く理解出来ませんでした。表層的な事は観たまんま分かるけれども、内心おのおのがどう思い、どう考えて行動しているのか…、そこが全く分かりませんでした。何がしたいのか検討もつかないお遊の行動もいちいち意味不明だし、どっちつかずで煮え切らない慎之介にもイライラしましたが、私にとって最も不可解だったのは特にお静でした。私は彼女こそ意地が悪い女に見えました。そもそもそういう状況に追いやられた時に夫と姉が喜ぶと思うのか。それで喜ぶ人間ならそれこそ不可解。

禁欲というもののエロチシズムも表現しきれていなかったように思うし、恋の始まりは溝口お得意の胡散臭さが漂い、なんとなく期待感でいっぱいになったものの、登場人物の内面が支離滅裂すぎて、どうも最後まで腰を据えて観る事が出来ませんでした。きっと演じていた3人も演じる役の本質を理解しないまま演じていたのでは?と思えたし、溝口ですら、それを理解しきれていなかったのではと思ってしまいます。だって確かな感情がどこにも感じ取れなかったんだもの。面白くなる要素は多分にあったのに、なんだか溝口の本領が発揮されないまま終わった感じ。

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09.03.18記(09.03.16DVD鑑賞)

(評価:★3)

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