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[コメント] 潜水艦イ−57降伏せず(1959/日)

こういう言い方をすると語弊があるかも知れませんが、私はこの監督の作る戦争映画が好きです。「罪を憎んで人を憎まず。」まさにその精神で映画が作られているような気がするからです。
づん

**ネタバレ注意**
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観ている間ずーっと、外国人父娘の存在を安直だと思っていました。彼らを配置した意図が分かりやすすぎて、ちょっと嫌だったんです。あの傲慢な娘が日本軍に対し警戒を解く辺りも展開として面白くない。

それがラスト30分くらいから怒涛の展開を見せ、目が離せなくなる。意を決したあの男達の目!その眼差しからは戸惑いや疑念、迷いと言ったものが一切なくなる。今までどことなく散漫な印象すらあった乗組員たちが、目指すべき場所が明確になった途端に見せたあの強い目。たとえその目指す場所が"死"だったとしても、私はあの目を否定する事は出来ません。

この監督が描く戦争というものはいつも、本当に、どこか肯定的というか、戦争を肯定している訳じゃないんだけど、軍人たちの意思を肯定しているというのか、戦争を経験した人々に対する敬意のようなものを、すごくすごく感じる。戦争は罪だ。でも戦争に参加した人たちに罪を押し付けるのではなく、戦争そのものを罪とし、憎んでいく、そういう目線を感じるからなのでしょうか。

こういう言い方をすると語弊があるかも知れませんが、私はこの監督の作る戦争映画が好きです。「罪を憎んで人を憎まず。」まさにその精神で映画が作られているような気がするからです。現代人が観なければいけない戦争映画はこの松林宗恵監督作品だと私は思います。

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09.03.27記(09.03.27DVD鑑賞)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)荒馬大介[*]

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