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[コメント] 千里眼(2000/日)

催眠』の臨床心理士有資格者松岡圭祐原作の映画化第二弾だし期待した。そして裏切られた・・・(苦笑)。原作はベストセラーで凄く面白いが映画はアレンジしすぎてまるで違う内容に変わってる。
HILO

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







同じ心理学の映画でも木村佳乃主演の『ISOLA』みたいなアイドル映画じゃなく心理学をテーマにした映画という意味では面白い。

ちなみに原作は解離性同一障害(旧名:多重人格障害)がテーマ。

但し、映画的には少し遊びすぎって感じもする。

まあ、心理学は本来曖昧なジャンルだから、 そういう意味ではあれくらい曖昧な演出が相応しいのかもしれない。

興業を優先したプロデューサーとクオリティを優先した松岡圭祐の対立が生んだ悲劇なのかもしれない。岬美由紀役の水野美紀はほぼイメージ通り。

原作・・・岬美由紀が所属する航空自衛隊(空自)の設定を生かしたスカイアクションが物語に緊迫感を生み出す。 映画・・・予算の都合上全てカット(推測)。

原作・・・随所に登場する岬美由紀のアクション。 岬美由紀は格闘技のエキスパートという設定。 映画・・・ワンシーンのみ登場。水野美紀は拳法一級の腕前。

原作・・・友理佐知子と岬美由紀の人間ドラマや心理学上の師弟関係が物語の軸。 映画・・・予算の都合上アレンジ(推測)。 岬美由紀は現役自衛官(制服姿はファンサービス!?)で心理学の素人という設定。

とりあえず思いつくままに挙げてみたがかなりの手抜きが目立つ。

心理学の発展途上国である日本が心理学をテーマにした映画を撮るのは、 やはり無理があるって事が証明された。

以下、ネタバレ

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せっかくの原作の良さを監督の独断で勝手に変えるのは邦画ではよくある話。

ハリウッドでは観客の立場になって監督が修正するが、 邦画の場合は監督の趣味が最優先。 (例:『リング』0/2)

今回は原作者が脚本も手掛けてるから毎度の無茶はないが、 (水野美紀を全面に出したアイドル映画ではないという意味) 原作のイメージが少し離れて遊び要素が強くなってるから、 これで原作者が納得したのか少し疑問。

但し、内容についてはかなり飛び火してる。

原作で内容を掴んでないと理解が難しいと思う。

クライマックスに出てくる「メフィスト」という組織の名前は、 『千里眼』の続編である「ミドリの猿」のクライマックスで登場する。

心理学の知識は面白いけど映画的には疑問が残る。

これなら『催眠』の方がホラーで全体を包んでいる分映画的には面白い。

キャスティングは原作のイメージ通り。

特に水野美紀は上手い。

拳法初段の腕前はジャッキー・チェンと比べても見劣りしないし、 下手な特撮で誤魔化してないのが分かる。

クライマックスで爆弾処理する時の英語台詞も流暢な英語が格好良かった。 「帰国子女?」て思ったくらいだ。 これで下手な英語を使われるとかなり強引な雰囲気になる。

他のキャスティングもイメージ通りだしまあまあ面白いと思う。

但し、原作ファン的には、 もう少し原作に忠実に撮ってほしかったって感じ。

心理学の本場はアメリカだからこれをハリウッドでやると面白いと思う。

米空軍と心理学会が全面協力すれば凄く面白くなると思う。

(評価:★3)

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