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[コメント] ブラッド・ダイヤモンド(2006/米)

闇の奥の・・・奥を描いて、アクション映画を撮ったけど、アフリカの重荷は、この監督と主演にとっては、それこそ荷が重すぎたようで。
ヒエロ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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安直だ。ディカプリオがいい人過ぎる(こいつに悪人は演れんだろうけどな)。この主人公、なんでダイアを渡しちゃうんだ?人を蹴落として騙して殺して手に入れたダイアを、渡す理由が安直すぎる。一方、ジャイモン・ハンスゥ 演じるお父さんが、良い味出してる。この人、いっつも旨い脇役に徹しているから気持ちいい。結果的に、ディカプリオが半端なチンピラにしか見えん。そもそも彼の地には、善悪なんて無いんだから。ダイヤ渡しちゃいかんでしょう。闇の奥の奥に横たわるものは、それほどに怖いんすよ、彼の地は。

貧困と無知が暴力と不条理を生み、際限のない紛争と利権争いの温床になっていることは、アフリカに限らず東南アジアだって同じ事だが、ダイアという単なる嗜好品なのがいけ好かないつう事でしょ。生活には全く持って必要ない品が金を生み、その金で武器を買い、その武器を子供が使って縄張り(つまりはダイア算出地)を拡大し、またダイアを採って・・・つう繰り返しが不毛であると。

そうです、不毛です。全くの不毛地帯。ヨーロッパ列強の植民地主義の結果、100年以上も昔から繰り返してんだから。だから主人公がダイア渡す理由に納得感無いわけですよ、全然。アクション映画のご都合主義を最後の方に持ってきて、無理矢理纏められてもなぁ。

映画の中で、現地の人の手首を切り落としたのは、ベルギー人が最初だったと教師が語るが、これはコンゴでの本当の話。当時の紛争ネタはゴムだったけど、今はダイアというのは周知の事実で、ま、それでも無邪気にダイアを欲しがる人が減るわけもなく。

現在のアフリカの重荷は、過去の植民地主義を精算できずにいる白人の重荷でもあるとのメッセージを込めよとしている努力は認めるし、正義の告発を傘にして現地乱入した記者(美人で白人・・・つまりアフリカの対極代表だな)が、実は、最後の電話を受けたのは、清潔な都会のオープンテラスで、ワインを飲んでいた時なんてのも、皮肉が効いていいとは思う。しかし、やっぱり、闇の奥を描くには安直なアクション映画じゃ、無理じゃね〜の?(だから『地獄の黙示録』は面白い)。

これ、奥さんと一緒に見た。奥さんは相変わらずダイアを欲しがってますが(ハッキリ言わないところがニクい)、空かさず、「それ、『ブラッド・ダイアモンド』?」と、聞き返すことにしている。このワザで、暫くは凌げそうだ。

(評価:★3)

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