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[コメント] トト・ザ・ヒーロー(1991/独=仏=ベルギー)

逆境から生まれる笑いに人間への愛おしさを感じる。
もずくねこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







感動する映画とひと口に言っても色々あると思います。 笑えて感動、悲しくて感動、考えさせられて感動、などなど。 でも自分にとって心の中で、そっと大事にしておきたい感動と いうのは心の琴線に触れた映画ではないでしょうか。 この映画が私にとってそうでした。

この映画は1人の男の誕生から終末までを描いた映画です。 「人生」の捉え方は人それぞれですが、それでも人生における 「空しさ」「あっけなさ」「虚無感」等は誰もが一度は感じた 事があるだろうと思います。 子供の頃に出来ると信じていた事が(ちなみに私は買ってもらった 魔法のコンパクトで本気で変身出来ると信じていました)、 大人に近づくにつれ1つ1つ自分の能力の限界と社会への折り合いを つけていかなければならない現実。

そして人間はいつか死ぬ。

私がこの映画に深い愛おしさを感じるのは、その現実の捉え方だと 思います。「人生はいつか終わる」というどうしようもない現実を、 決して皮肉ではなく、でも諦めでもなく逆境から生まれる笑いに身を置く。 その描き方は切ないけれどとてもやさしく、そして「ヒト」として 生まれた悲しみと愛おしさを静かに感じさせてくれる。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Linus[*] ひゅ〜む くたー[*] カフカのすあま[*]

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