ヨアヒムのベッド上の全身不随の演技、なかなかリアリティがあって印象的。頭が無事だったのは救いですね。これが悩みの元でもあるんだけど、逆は悲惨だから。自分でもつらいけどきっと同じ態度をとると思う。　医者の夫婦は、この事件が無くても、遅かれ早かれ駄目だったんじゃぁないのかな。

ヨアヒムはセシリとの決別の意思を早くから固めていたようだけど（入院後しばらく頑なにセシルと口を利かなかったのはその意思の現われだと思う）、その本心に気づかずに見舞いに来ては悩むセシリは、返ってヨアヒムを苦しめていたようだ。

悩みに耐えかねたセシリが医師との禁断の恋に感情の吐露を見出しつつある頃、ヨアヒムはそんなセシリに未練がつのり始める。身を引き裂くばかりのすれ違い。誰も流れを変えることはできない。　

そして四者四様の別れ。事件の被害者と加害者は孤独に身を染め、目撃者と救済者は喪失をセックスで埋め合わようと悶える。　彼らの行く手は脚色も何も無いドグマの世界。