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[コメント] 沙羅双樹(2003/日)

あるのは海外の批評家向けに撮ったあざとさだけ
sawa:38

手持ちカメラ、異常な程の長廻し、ありのままの録音、素人俳優の素朴な芝居。

つまりセミドキュメンタリーといった雰囲気が最重要視されている作品である。あまりにもそれらは意図的に重要な位置を占めて繰り返される。

カメラは常に揺れ、被写体に寄った時はともかく引きの映像の際にはカメラマンの足元に気を使ってしまう。被写体が路地を走り廻る画ではカメラマンの体力を心配し、いつ足がもつれるんじゃないかと本気で心配した。

ありのままの録音はすべての雑音を拾いリアルさは増すが、逆に素人俳優の発声は何を喋っているのか皆目見当もつかなかった。(ついでに言えばこの監督自身が何故母親役で出演しているのかも疑問)

そう、あまりにも制作側の意図するモノが前面に押し出された為、私はカメラが捉えた画を鑑賞するのではなく、カメラのさらに後ろ側(つまり制作スタッフと同じ場所)で鑑賞しているような意識をもたされたのです。常にこの女流監督の「顔」を見ながらの鑑賞。

家族の再生という巨大なテーマを掲げているようだが、ドラマのポイントとなる核心部分をあえて意図的にはずした脚本はテーマにかすりさえせず、退屈なホームビデオの域を一歩も出ることはなかった。

この退屈な作品から見えるものは何も無い。あるのはただただ、ひと昔前の革新的な手法を用い、ひと昔前の批評家が手放しで喜んでくれたであろう「芸術的マスターベーション映画」を作ったという憶測のみ。カンヌで見出されカンヌで育ったという女流監督。

作品にゃ関係ないけど、こういう人とは友達にはなりたくねえなぁ  ってな感じしか持てなかったなぁ・・

(評価:★1)

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