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[コメント] 家宝(2002/仏=ポルトガル)

本当はものすごいことが描かれているのに激しさを端正で美しくくるんでしまっている。つまり、端正につくりこまれた中にひっそりと毒薬を仕込んだとでもいうような作品。新しい悪女の誕生。素晴らしい。
なつめ

オープニングはキャストと共に教会(?)が映し出され、向こうから傘を差した女性が現れ中に入り、しばらくすると外に出てくる。なんて言ったらいいのだろう、虎視眈々の映像とでもいうのか、不思議な落ち着きに満ちている。そして物語の始まり、と思ったら、次はおじ(い)さん二人の会話が延々と続く。これから始まる物語の登場人物評。二人のやり取りを聞きながら「映画って、なんだろう…。これが映画なんだなあ」と思う。ときに抽象的だったり哲学的だったりするセリフがあるので、字幕を見た瞬間には理解できないことも。しかし、後半、激しい展開の合間にそれまでに出てきたセリフがふと思い出され意味が解けたり納得したりする。そして、気付くと私が見る風景が変わっていて、知らないうちにここまで連れてこられたのか、と自分の立っている位置に驚くような感覚がある。

(評価:★4)

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