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[コメント] 大いなる西部(1958/米)

残念ながら乗り切れなかった。光るところはいくつもある作品なんだけど…多分主役のグレゴリー=ペックを人間じゃなく、神にしようとしたからじゃないか?そのあざとさよ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 壮大な西部劇。二つの家の水場をめぐる争いを主軸に広大な西部の町の情景を描いた作品。

 これは確かに映画として良い作品なのだろうけど、私には何となく乗り切れなかった。理由は一つ。主人公のグレゴリー=ペックにある。何でも見事にこなせるのに韜晦ばかりして自分を見せない役は、格好良いと言うより、嫌味にしか見えないのが何とも(ペックってこんな役がとにかく多いな)。むしろ野性味溢れる魅力を見せたリーチ役の若き日のチャールトン=ヘストンや、粗野ではあるが義に厚いバール=アイヴスの方がはるかに魅力的に見える。

 人に見せるのが正義ではない。と言う理論はよく分かるのだが、それが行きすぎると嫌味になってしまう。ペックを格好良く撮ろうとする努力が、逆に映画そのものを駄目にしてしまった。彼は人間的弱さなど持たず、物事を全て大局から見ようとする。その姿はむしろ神のそれに近く、人間的魅力が全然感じられない。それが嫌味なんだよなあ。それさえ我慢できれば(あるいは本当に彼を格好良いと思えれば)素晴らしい作品なんだけど…

 いくつか不満。あれだけ自分の強さを隠して平和的解決に持っていきたかったはずのマッケイがやった事って、婚約者を捨ててもっと力のある女性とくっついたことと、二つの家の戦争を煽っただけでは?それと結局フラれてしまったパットとリーチのロマンスは無いのか?それはやっぱりあって欲しかったなあ。

(評価:★3)

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