高村薫の同名小説の映画化。そもそもこの人の小説は小説だからこそ映える作品。とにかくものが長く、時事問題や社会的問題などもふんだんに盛り込んで話が複雑なため、そのまま映画化すると中心が分からないまま終わってしまいがち。

　本作もそのまんまで、主人公が6人もいて極めて複雑。それを物語の展開で説明しようとしてるのは分かるんだけど、その展開があっちに転んだり、こっちに転んだりで、全然話が掴めない。更に主要人物があんまり喋らない人ばかりなのに、碌に説明もないままどんどん人が死んでいく。本当に訳分からない。はっきり言って、一回観ただけでは全然分からなかった。あれよあれよという間に終わってしまったという印象。

　キャラそのものは悪くないし、複雑な物語を見せようとする演出もそれほど悪くないと思う。ただ、詰めすぎたのが問題。

　これはむしろ2時間の映画で終わらせるのではなく、TVドラマ化して半年くらいかけてやるべき作品だったんじゃないかな？たとえチープになってもキャラだけで充分魅せられる内容なんだから、この程度の時間でやるもんじゃないだろう。

　残念な作品だったな。