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[コメント] ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方(2004/米=英)

何故ジェフリー=ラッシュなどという濃いキャラにセラーズを演じさせる必要があったのか?と言うと、セラーズがそれだけ濃かったと言うことがよく分かりました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 セラーズの生き方とは、私が思った以上に破天荒なものだと言うことが分かったのだが、盟友と思っていたエドワーズ監督とまで、あそこまでやり合っていたのか。と、妙に感慨深かった。内外で敵を作りまくり、それでも実際の映画で評価を不動のものにしていく。それが彼自身の魅力なのだろう。決して友人にはしてはいけないタイプの人間ではあるのだが…

 前半数々の名作をものにしてのし上がっていく過程も良いが、特に後半、『チャンス』に賭ける意気込みと、それを製作するために自分ではもうやりたくないと公言していたクルーゾー警部を演じ続けることのギャップなども感じられて、その辺は観ていて辛く、それだけに興味深いところだった。そしてまるで本当に『チャンス』のラストシーンのような彼の人生の終わり方など、演出と分かっていながら涙腺を刺激される。

 セラーズを演じるラッシュは癖がありすぎて、どう見てもラッシュ本人にしか見えないのが難点ではあるが、時折どきっとするほど似ている瞬間もあり。この起用は正解だったと思える。

 それより本作は演出の巧さが光る。まるでフェリーニ作品のように、現実と映像内世界と映画の外の世界とが入り乱れ、虚々実々なる不思議な世界観が展開されていた…なるほど、それで主演は徹底的に濃くする必要があったのか!

 版権とかの問題も色々難しかっただろうに、音楽や映像など、実際の名作から引き出しているところも良し。時として新しく撮り直したのか、それとも本フィルムなのか、頭の中で区別がつかなくなってしまうこともあり。

 セラーズ好きな人間だったら、是非ともお薦めしたい一本。

(評価:★4)

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