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[コメント] 愛と追憶の日々(1983/米)

「Fuck'n tastic!」…こんな台詞、言う方も言う方だけど、それが似合うのがもっと凄い。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 前々から観てみたいとは思っていたが、なかなかその機会に恵まれず、やっと観ることが出来た。でも、あんまり早く観なくて良かった。今だからこそ、やっとこの作品の良さが分かる。

 ちょっとだけ世間とは違っているものの、長きに渡って女性の半生を撮った作品で、確かに題材そのものは大作とは言えないけど、キャラクターにメリハリが利いているので飽きさせない。それにヴェテラン俳優の配置の仕方が上手い。会話もあか抜けてて洒落ているし、微妙な間も上手い。なるほどアカデミー受賞もうなずける作品だ。

 この作品のテーマは多分、一般生活における女性の自立とはなんぞや?と言うことを、普通の人の目で見ているって所にあるんだと思うのだが、なんかマクレーンは既にそれを超越してるって感じ。この時既に彼女は50歳を越えていたはずだが、未だにコケットさを失っていない。普通はそれを不気味に感じることの方が多いのだが、彼女に関してはそれは当てはまらないことを思わされた。ニコルソン演じるギャレットと一晩を共にした朝、娘の電話からの電話に「夕べの彼とのセックスはとっても良かったわ。ファン…ファッキング、タスティック!」と言う台詞が…うーん。今思い出すだけでも凄い人だ。

 それで対するのがニコルソンだから、まあ、キャラがとにかく濃い(ニコルソンはプロだけに抑えた演技もちゃんと出来るんだけど、本作においては性格俳優の本領発揮って感じ)。よくこんな二人を使ってちゃんとバランスを取れた。それだけでもブルックス監督は褒められて然りだ。これが映画一作目とはとても思えないよ。

 これまでアカデミーの常連でありながら(それまでに4度ノミネート)、一度もオスカーを手にしたことがなかったマクレーンに見事女優賞を取らせた作品でもある。この受賞の時、彼女は「思い切って言うけれど、もらって当然だと思うわ」と豪語し、更に授賞式の後インタビュアーから「このオスカーは今回の演劇にたいしてだと思うか、それともあなたのキャリアに対してだと思うか?」という質問に対し、こう答えたそうな「両方に対してよ。それに私のこの身体に対してね!」…やっぱり凄い人だ。

(評価:★4)

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