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[コメント] 巨神兵 東京に現わる(2012/日)

下手な物語を付与してしまったのが一番の問題。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この作品、やはり特撮ファンとしては外すことが出来ないものとして、特撮博物館まで行って見に行ってきた訳だが、これを観るだけで往年の特撮ファンには感涙もの。特に特撮技術を知っていればいるほど、ここに使われているテクニックがどれだけ手の込んだ、そしてどれだけの苦労の上に作られているのかを知ることが出来るから。

 でも同時にこの作品は、とてももの悲しい。

 現在はCG技術が発達しており、CGで作るなら、手間も金もここまでかけずに作ることが出来る事は分かっている。そして作り手も又、その事を良く知っていて、今だから作れる、否今しか作る時がない、ちょっとした焦りのようなものも感じられてしまう。実際、この作品のメイキングを観たのだが、これだけの金を遣えて、最後の仕事が出来たと言う職人のインタビューが心に沁みた。

 これまで培ってきた特撮のテクニックと、おそらくはここでしか使うことの出来ない新しいテクニックを駆使し、東京という街を一度完膚無きまでに叩きつぶしたい。そんな思いがビンビンに伝わってきた。

 それには確かに特撮ファンとして大いに溜飲が下がるというか、頷ける部分なのだが、大きな問題が一つある。

 根本的にこの作品の脚本を庵野秀明に任せたのが問題だった。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』であれほどの屑っぷりを見せつけたそのまんまの感覚で物語ではなくポエムにしてしまったため、何というか、頭を抱えたくなるようなものになってしまった。まあいわゆる「中二病全開」そのまんま。これが残念。いっそモノローグなしでただ街を破壊するだけで充分だったのになあ。

(評価:★3)

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