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[コメント] 愛と希望の街(1959/日)

確かにこの時代は貧富の差が歴然としていた。だけど今、果たしてどの程度日本は“豊か”になったんだろう?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 何かと問題作を連発する監督の、そのデビュー作。日本の現状をしっかりと見据え、シニカルに物事を捉える目がとても良い。金持ちと貧乏という二階層に分かれた日本。貧乏は金持ちを羨み、金持ちはそんな人間に物を与える事で自分の義務を果たした気持ちになる。結局互いは互いを分かることなく終わってしまう。と言う構成により、物語は悲劇となって終わる。

 結局分かり合う事は出来ない。と言う事を前面に出したのは映画においてはかえって珍しい構成で、極めて後味の悪いラストは人の偽善性を見せ付けられるようで、確かに「問題作」と付くのは伊達じゃないな。

 この当時から較べて日本ははるかに豊かになった。日本の中では貧富の差はかなり狭められ、大抵の人はそこそこの生活を約束されるようになった。

 …だけど今度は自分たちがみんな同じであると言う思いへと変わって、自分がどれだけ豊かな生活をしているかが分からないようになってきた…

(評価:★3)

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