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[コメント] けんかえれじい(1966/日)

実は私は主人公麒六の後輩に当たります
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 鈴木清順監督の初期作品で、この作品により監督の名前は内外に知られることになる。だが、実のところ、公開当時は全く振るわず、批評家も黙殺しており、翌年これにより日活による監督解雇問題へまでつながってしまったという曰く付きの作品でもある。

 しかしそれもよく分かる。作品の投入が10年早かった。日本人に漫画、殊にスラップスティックものが受け入れるまでにはもう少し時間が必要だったし、硬派を自称する男が実は相当女々しい性格をしていたなんて二重性を持った主人公を題材にするのも、時代的には受け入れられなかったと思う。

 しかし逆に言えば、本作があったからこそ、こういうタイプの硬派ラブコメっぽい作品が受け入れられていったのかもしれない。そう考えれば、本作の日本の社会に果たした役割は相当に大きいと思われる。考えてみると、初期のちばてつやの漫画の世界そのものだな。

 それに舞台となる時代が太平洋戦争前とあって、本来もっと硬くなりそうな作品を、あくまでソフトにソフトに描いているのも好感度高い。自由な映画作りが出来たのはありがたいことだ。

 話は中途半端に、唐突に終わってしまうが、これがもし続いていたとしたらどうだったか?政治的な偏向作品になってしまったか、それとも元のように道子との不器用なラブコメものになっていたか。今となっては分からないが、ちょっとそこが不満点だったか?

 更にこれはどうでも良いことなんだけど、麒六が転校していった先の学校は…なんだ私の母校じゃないか(笑)。その一点でも興味深い。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)torinoshield[*] ぱーこ[*]

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