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[コメント] ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey(2020/米)

ジョーカー抜きのハーレイ・クィンだと、なんかぱっとしない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ジョーカーに関しては昨年のジョーカー(2019)の予想外の大ヒットで、こちらのジョーカー像が世間には受け入れられてしまったため、再び前のジョーカーに戻すのにためらいがあったのかもしれない。結局本作ではジョーカーはシルエットのみの登場となる。

 それでジョーカーから離れたハーレイ・クインが本作の主人公になるのだが、正直、ジョーカーなしのハーレイ・クインにはたいして魅力がないというのも事実。

 ハーレイ・クインはかなりイカれたキャラではある。基本的には損得関係なく、自分の興味を惹くか惹かないかだけで行動するのだが、ジョーカーと組むとしおらしくなったり、ジョーカーのために一生懸命アイディアを出したり、時にはジョーカーに命じられて危険な任務を飄々とこなしてみたりと、結局ジョーカー次第のキャラでもあり、ジョーカーあってこそ輝くキャラクターとも言える。

 そんなハーレイ・クインがジョーカーから離れて何をするのかと思ったのだが、全般的に中途半端な印象の作品が仕上がった。

 中途半端さはいくつも挙げられる。

 ハーレイ・クインのイカれた行動様式は、自分のしたいことをしてるだけなのだが、何ら主義主張がある訳でなく刹那的。リスクの覚悟がないので衝動的で後先考えないものになってる。それが本作の魅力なのだが、単に頭悪いだけにしか見えない一面もあって、それが妙に気になってしまう。もうちょっと目的意識があったほうがストーリーはしっかりしたのでは?

 なし崩し的に仲間になっていく他のキャラも全員女性だけというのが面白いのだが、その一面、多数の登場人物に深まりがなくて薄っぺらいだけになってしまった。キャラを多く出す分割を食った感じ。

 女性が活躍する設定においても、やってることが70年代のリブ運動っぽくて、もうちょっと今のジェンダー論取り入れられなかったのかな?という感じ。

 サイケデリック演出を狙った演出もなかなか面白いのだが、それも徹底されてないために、バットマンよりもディック・トレイシー(1990)の世界観の方に近くなってしまった。  全般的に言えば、多少とんがったところのあるグロリア(1980)ってところだろうか?面白くなくはないけど、概ね中途半端。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)小紫 プロキオン14[*]

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