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[コメント] 居酒屋(1956/仏=伊)

名作だし質が高いのも事実だけど、観てるのがキツすぎます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 エミール=ゾラ原作の文学作品ををクレマン監督が映画化。原作自体が女性を不幸にたたき込んだ上にそのまま放置してしまうという内容で、読むのもきつい内容だったのだが(フランスの自然主義文学はだから嫌いなんだよ)、映画化した本作はそのエッセンス部分を徹底的に取り出して、これでもか!とばかり不幸を連発させてくれるので、観てるだけで辛くなって辛くなって仕方ない。こんなテーマながらクレマン監督の洒脱で軽快な演出は健在で、特にシェルの大立ち回りのシーンなんか、見事なんだが、その監督らしい軽快さがあっても痛々しさはやはり変わらず。いや、かえって悲惨さが増しているような気にさえさせてくれる。特に最後、あんな幼い少女のナナが、家を見捨ててしまう辺りは、演出的には非常に見事なのだが、その分最後の最後にドスンっときた感じ。

 確かに芸術的と言えば芸術的なんだろうけど、この手の作品は私はとても苦手で、とてもいたたまれない思いをさせられてしまった。どれほど本作が名作と言われようとも、はっきり言って二度と見たいと思わない。

 ただ、演出に関しては文句なし。こんなテーマであっても軽快さは決して失われていないし、ロケとセットの調和も良し。見事にパリの裏町っぽさが良く出ていた。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)りかちゅ[*]

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