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[コメント] スウィートホーム(1989/日)

後の黒沢監督作品との違いを考えてみると、きっと伊丹十三自身が役者に徹することなく、なにかれと口を出していたんじゃないかと思います。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 役者としても監督としても名声を得ている伊丹十三が、次に選んだのはホラー。しかも怪談ではなく、ハリウッドの伝統である"館もの”と言われるホラーで、しかもスプラッター要素を取り入れたものだった。たださすがにこれまでまったく経験したことのないものを作るためか、監督を新鋭の黒沢清に任せ、メイクアップ・アーティストとして名匠ディック=スミスを招くという力の入れようだった。

 それで出来としてどうか。と言われると、やっぱりこりゃホラーじゃないんだよな。ホラーでも怪談でもない。非常に中途半端な作品…特撮作品とさえ言い難い。強いて言えばホラー風味のごった煮映画。

 ごった煮ならごった煮で作りようによっては面白くなったんだろうけど、凝った演出がかえって人間ドラマを阻害した上に物語自体が陳腐。役者が日本人ばかりなのに、ホラーっぽくするためにわざわざ洋館を舞台にしたため、その違和感も激しい。

 黒沢監督はこの10年後『CURE キュア』(1997)を皮切りに、目に見えない恐ろしさというものを追及していく事になるのだが、逆にこういった陳腐な作品を監督したことが、彼の映画作りに大きな影響を与えたのではないだろうか?とも思う。

(評価:★2)

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