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[コメント] クライング・ゲーム(1992/英)

ブラック・コメディとしては最高の部類ですが、何故か本国イギリスでは受けなかったのだとか。何でなんでしょう?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 ボウイ=ジョージの歌う「THE CRYING GAME」に乗せたヒット作。イギリスではアカデミー賞まで取ったのだが、本国ではさっぱり売れず、アメリカでヒットしたという面白い経緯を持つ作品でもある。

 話のほぼ2/3が密室。しかも二人ともただ座っているだけという面白い構造を持つ作品で、こういう密室劇って非常に難しいのだが、緩急を付けた演出のお陰で緊張感を途切れさせることなく上手く仕上げらてる。会話にもいくつもの自虐的ジョークが含まれるし、「カエルとサソリ」の寓話なんかも上手くはまってる。

 しかし、本作の一番の見所は実はこの密室劇ではなく、その後の話だったりするんだが、このオチは強烈すぎ。今までの展開が全てふっとんでしまった。このケレン味こそがまさにイギリス風味って感じ。その強烈なオチのお陰で隠れがちだけど、実にしっかりした作品である事は確か。

 ところでこの作品、設定的が非常に面白い。当初の話の展開が英国軍兵士とIRA闘士の友情であるのだが、それは一見敵同士の間でも、ちゃんと心の交流が出来る。と言う事のみならず、主人公がアフリカ系のウィッテカーである事から、これは政治理念だけじゃなく、民族を超えた心の交感も可能としていき、そして最後のオチでは、なんとそれは性別まで超えてしまう。まあ、なんとも諧謔趣味に充ち満ちている。

 後味が良い訳じゃないけど、観終わった後呆然として、それから爆笑できた。モンティ・パイソン好きな人間にはまず受け入れられる作品だ。

 しかしこれほどイギリス流ジョークに溢れてるのに、なんでこれがイギリスで受け入れられなかったんだろう?

(評価:★4)

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