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[コメント] 白い巨塔(1966/日)

実は弟が医者をやっているので、今度そこら辺の権力抗争についてちょっと聞いてみようと思ってます(笑)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これは色々考えさせられる作品。この作品において主人公の財前は確かに権力志向の部分はあっても、基本的に優秀な外科医であり、普通の市民だし、大体その権力志向だって、岡山に残した母の切なる願いを叶えるため、そして周りから押されて。と言う側面の方が強い。それに教授になれずに大学に残れないとなれば、行く当てもないし…結局彼は普通の人間に過ぎないわけだ。それがどろどろとした権力抗争に自らを置くことで、様々な欲望を身にまとう事になる。しかもこれは誰だって起こり得ると言う部分がはっきり見える分、薄ら寒くなる。私だって同じ立場に置かれたらなあ…結局主人公との自己同化は、この作品においては見事に出来ていた。

 医者というのは人の命を扱う職業だけに、プレッシャーも高いし、仮に誤診で患者を殺してしまった場合など、それがばれると「人殺し」と呼ばれかねない恐ろしい職業である。しかも優秀になればそれなりのプライドも出来るだろうし…裏に回るとどういう世界なのかと思わせられたりもする。しかもこれが普通の人間に押しかかるわけだから…医者にならなくて本当に良かった(笑)。

 ただ、この作品がドラマとして完成度が高いのは元の小説の上手さに負うところも大きいが、膨大なテキストの原作を脚本の橋本忍が巧く持っていき、凝縮した分見応えがあるし、主人公の田宮二郎が上手いから、自分だったらどうだろう?などと想像させてくれるのも良い。

 この作品は後にテレビドラマにもなったが、残念ながら未見。DVDにもなってるんだよな。誰かDVD貸してくれる人、いませんか?(笑)

(評価:★4)

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