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[コメント] 駅 STATION(1981/日)

映画は人生を観るもの。楽しさだけじゃありません。寂しさや辛さをも観られます。もう少し歳食ったら又観てみたい作品ですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 まずは軽佻浮薄を価値観とする1980年代に、こんなしっとりした、それぞれの演技を最大限引き出す作品が作られた快挙を称え、決して軽さに流れようとしない姿勢には敬意を表しよう。

 物語も、話の展開そのものは淡々としているものの、いくつもの時事ネタを盛り込みつつ、その社会情勢でどんなことが起こっていたのかを丁寧に描いているのが好印象。更にその時代時代に違う女性との交流を通じ、男の寂しさや辛さと言ったものを演出してくれる。触れれば触れるほど寂しくなっていく。そんな大人のつきあい方がここにはあった。私が好きなのはラストエピソードの倍賞千恵子との物語だけど、いしだあゆみ、烏丸せつこ、古手川祐子と言った女性達の、それぞれ違った女っぽさ(あるいは演歌っぽさと言うべきなのかな?)があり。

 本作を観た当時、それは単なる映画的な重厚さであると思っていたけど、今思い出してみると、こういう悲哀を衒うことなく描いてみせてくれていたんだな。特に何故か主人公の英次と関わる女性はみんな何らかの不幸を負っているし、見方にもよるけど彼と交流することで、余計不幸になってしまう。それを30分単位くらいで少しずつ作っているので、オムニバス映画としての側面もあるのだが、一つ一つのみにエピソードがいくつかの伏線で結ばれているので、それを知るのも楽しい。一エピソードの尺が短いのでベタベタした物語にならないのも良い。

 観終えて、しみじみ寂しさを噛みしめるには良い作品。そう言う気分の時ってあるよね?

(評価:★4)

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