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[コメント] ヤング・ゼネレーション(1979/米)

自分を出したくないのも青春。自分を最大限出すのも青春…私は前者だったなあ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 若者の生活を描いた作品は数多いし、それをスポーツと絡めるのも良くやることだが、その中で最もリアリティある話は?と聞かれたら、やっぱり本作を推したい。

 大体高校生って言うのは誰しも自分の未知なる可能性を持っていながら、それをどう活かして良いのか分からず、くだらないことばかりに凝るってのが普通。そう言うくだらないことが人から否定された方が燃えてしまい、意固地になってしまうことがよくある。ここでデイヴのイタリアかぶれは恐るべきリアリティで、一瞬自分自身のフラッシュバックが来そうな気がするほど(それで後になって身もだえしたいほど恥ずかしい思いにさせられたりもする…実例あり)。得意なものがあっても、ほとんどの人間はそれを将来の仕事にまで持っていくこともできない。自分の実力が井の中の蛙に過ぎないことを知らされたくない。と言う臆病さのせいだろう。

 ただし、それでぐたぐたしながら終わるわけではない。何らかの契機があるならば、それらは化ける。へこまされながらも、自分を信じて得意なことを突き詰めようとすることもあれば、これまでの自分のやってきたことが馬鹿らしいことに気づいてあっけなくこだわりを捨てることもある。何かを捨てて何かを得る。この実感こそがこう言う青春映画には必要なんだろう。

 物語そのものよりも、その設定を上手く活かしたことが本作の最大の強味だ。若者特有のイライラした気持ちと、それを爆発する場が与えられたということ。それが表現されていると言うだけで充分とも言えよう。

 脚本のスティーヴ=テシックはユーゴスラヴィア人だが、アメリカの大学では自転車レーサーとしてならしており、その体験を活かした作品となっている。  ノスタルジックな雰囲気に浸れたって事だけでも充分って作品だろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ナム太郎[*]

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