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[コメント] 戦火の勇気(1996/米)

尋ねる順番が逆だったら?それはそれで物語が成立してしまいますね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 湾岸戦争開始してから僅か数年で作られた、当の湾岸戦争を主題とした作品。

 これは持論だが、戦争を描く場合、本当にそれがこなれるのには時間がかかる。完全に戦争に納得がいかない限り、とても中途半端な作品にしかならないのだ。第二次世界大戦の場合、アメリカが完全勝利したし、悪人がはっきりしているため短い時間で消化出来たのだが、ヴェトナム戦争以降は全然それが出来ていない。特に湾岸戦争になると、つい最近作られた『ジャーヘッド』(2005)でさえ未だ消化しきっているように見えないのに、その難しい素材をこの時代に作ったと言うこと自体が無理があった。

 実際出来た作品は極めて感傷的なものとなり、戦争そのものよりも、戦争による悲しみとか悲惨さとかばかりが強調された作品になってしまった。しかもその悲惨さはアメリカ人だけのものとしてしまったのも観ていて引く。

 それにコメディエンヌとしては最高のキャラであるライアンをここに起用した理由も今ひとつ。新境地を目指したのだろうが、肩に力が入りすぎて痛々しく見えて仕方ない。色々な意味で無理があった作品としか言いようがない。

 話を『羅生門』(1950)風にしたのは、挑戦としては良いにせよ、それもこなれてないとあっては…はっきり言って「悲惨」である。

 戦争の描写に関しては良かったし、ショートストーリー毎のメリハリも効いていたのが、かえってミスマッチ。

(評価:★2)

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