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[コメント] テルマ&ルイーズ(1991/米)

アメリカン・ニューシネマ以来伝統のロード・ムービーなんだけど、これが面白いと思えたのは、やっぱり女二人が主人公だったから。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 スコット監督は街を撮ることにかけては第一人者だと思っている。とにかく綺麗に、幻想的な町並みを映像化してくれる。しかし、時折彼の撮る作品で、街を殆ど撮らず、キャラクターを強調する作品を撮る場合がある。近年では『マッチスティック・メン』(2003)があるけど、それ以前にこんな素敵な作品も作っている。

 当初期待していたのとは全く違った出来だったのが意外。なんとなくアメリカン・ニュー・シネマのロード・ムービーっぽい感じがするのだが…でも、二人がドロップアウトを楽しんで見えるのは時代の流れかな?

 とにかく本作は実にキャラクターが映えている。否応なくドロップアウトを余儀なくされた二人が、それまでの価値観を全く変えざるを得なくなるのだが、その思い切りの良さはそれまでの映画には見られないほど。こうなると強いのは男じゃなくて女だよな。主人公を二人とも女性にしたのは卓見。普通の男女のコンビだったら、ここまで面白くはならない。

 それで面白いのは、今まで抑圧され、地味な存在として自らを位置づけていたテルマが、一旦キレた途端、もう凄い活き活きとしてる点。最初ルイーズに引っ張られるだけだったのに、いつの間にか主導権を握って、やりたい放題。それまでにどれだけ抑圧されていたか、そして本来の彼女がどれだけ活動的だったのか。その辺が見えて面白い。

 一方のルイーズは、多分最初から少しだけ日常から離れていた生活を送っていた分、完全に思い切るまでに時間がかかったんだろうが、彼女もやがて自分が後戻りできない場所にいることに気付いてしまう。

 ここで初めて二人は完全なコンビとなる。このコンビはもう最強!

 そのコンビの結びつきが、最後の飛翔につながったんだろうな。ラストシーンは爽快!に尽きる。

 本作にはブレイク前のブラピが登場してるが、実は彼ってこういう脇役の方が存在感映えてた気もする。今から考えてみると、この時代から既に華があったキャラクターだったんだな。

(評価:★4)

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