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[コメント] ビルとテッドの大冒険(1989/米)

脚本のクリス・マシスンはリチャード・マシスンの息子。実に素晴らしいセンス・オブ・ワンダーを描いてくれた。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 一応これはSFコメディ作品なのだが、他の作品と較べても際だった個性がある作品だった。

 SFとコメディを合わせた作品は数多く作られているが、多くの場合は、事情を知らない主人公が変な行動を取ってしまったために危機を迎えてしまって、その危機をいかに面白く解決するかがパターン。話の乱高下を加えてコメディタッチでそれをどう笑わせるかが脚本の腕の見せ所となるだろう。

 ところが本作の場合、主人公の二人は何をやっても咎められない。突然タイムマシンを与えられた二人だが、二人が行うことに限り、どのような行為も許されてるというのが大きな特徴になっている。それこそ歴史を遡り、過去の人を殺したり、例えば偉人をいないものとしてしまうことも可能。小さな事であれば、知っている未来の出来事を使って今の自分に大金をもたらすことも出来る。

 こうなると別な意味でのコメディの方向性も出てくる。どんなとんでもないことをしても、ちゃんと歴史に組み込まれているというパターンで、本作はそちらの方向で話が展開していく。ただし、主人公の二人がお馬鹿であってもとことん善人のため、どんなに馬鹿げたやりたい放題やっても、たいして大事にはならない。しかもわざわざいろんな時代の偉人を連れてくるとかとんでもないことをやっておいて、歴史のレポートの手伝いをさせるだけというオチも素晴らしい。

 結果的にこの作品、誰一人悪人が登場しないまま終わる。得体の知れない未来人も全員二人を祝福してるし、タイムマシンを与えたルーファスにしても、好きなことをしろと言ってる言葉に裏がない。本当に純粋にただやりたいことをやらせてるだけだった。

 何故そんなやらせたい放題やらせたかは最後のオチで分かるのだが、そこで全てが腑に落ちる。未来のビルとテッドが作る音楽こそが世界を救うことになる。だからその音楽を作らせることこそが何よりも至上命題であったのだ。ここで「なるほど!」と思えたところで本作の評価は跳ね上がった。

 よくこのネタ考えついた。それで充分。

(評価:★4)

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