コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] フェリーニのアマルコルド(1974/仏=伊)

失われてしまったと思えるものが甦る。映画とはそう言う機能も果たしているのですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 フェリーに監督の過ごした子供時代をモティーフに、1930年代を舞台に描く群像劇。フェリーニの子供時代の自叙伝と言われている。撮影も監督の生まれ故郷の北イタリアのリミニ地方行われている。ちなみに“アマルコルド”とはフェリーニの故郷である北部イタリアのリミニ地方の今はもう死語になっている言葉で“エム・エルコルド"(私は覚えている)という言葉がなまったものとのこと。

 モノクロ時代に一つの時代を作った監督たちがカラーになっても良い作品を作り続けられる例はあまり多くない。人間ドラマそのものに色は不必要だと言うのは間違いがないのだが、むしろその色の持つ可能性をとことん推し進めることに成功したのはフェリーニの功績も大きいだろう。既に『魂のジュリエッタ』(1964)でそれは表れており、色を用いて心象風景を描き出すことにも成功しているのだが、本作ではそこから更に一歩進め、風景の中にノスタルジーを描いている。そもそもモノクロ時代からフェリーニは自分自身を描くことを命題にしていたのだから、その二つが見事に合致したのが本作であるとも言えるだろう。

 思い出とは色の中にある。春夏秋冬を通し、そこにある色が鮮烈に残っていると言うのが本作の狙いだろう。事実、ここに映された風景は、たとえ全く見たことがない景色であったとしてもノスタルジーを秘めている。雪国の生まれである私にとっては、やはり雪のシーンは強烈な印象を受ける。しんしんと降り積もる雪の中、大きく羽を広げる孔雀の姿。このシーンは私にとってもベストショットの一つ。

 ただ、本作は単なる想い出だけに止まっていないのも特徴だろう。フェリーニ作品に度々表れる巨大な女性への偏愛の度合いや、ムッソリーニの巨大な首が通りを歩くシーンはコメディと辛辣な社会風刺をも感じさせてくれる。

 それにしても、なんで本作がDVD化されてないんだ?

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。