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[コメント] チャイナ・シンドローム(1979/米)

これも又、70年代のパワーを表した作品の一つです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 原子力発電所の危険について警鐘を鳴らすため、フォンダのプロダクションが企画し、彼女自身もキャスター役で登場。積極的な社会運動家であるフォンダらしい作品とも言えるが、折悪しく(良く?)この作品が封切られた少し後にスリーマイル島原発事故が起こったため、そのタイミングの良さもあってヒットにつながる。

 ここまでストレートに原発の危険性を演出できた点にこの作品の存在意義があるが、これを容認できた70年代という時代のパワーをも感じ取ることが出来るだろう。社会的な見地から見ても、これは重要な作品であり、原発だけじゃなく公共設備は肝に銘じて欲しいものである。

 ただ一本の作品として観る分には、ちょっと話がのっぺりし過ぎた感はあり。画面が終始白茶けた感じでカメラ・ワークも基本的には一本調子。それに音楽も無いので、割と退屈しやすい作品戸は言える。社会問題を題材にした作品だから単なるエンターテインメントにしないために、敢えてこのような作り方をしたのだと思うのだが、それも善し悪しで、単体の映画として観ていて退屈する作りはどうだろうか?

 ただ、演出面で見せない分、キャラクタの比重が大変重く、そしてそれを見事に演じて見せたレモンは流石。『セイヴ・ザ・タイガー』(1973)に続き、決してこの人がコメディだけじゃなく重厚な演技も出来るのだ。と言うことをしっかり示してくれていた。  ここでのレモンは気弱で善良、しかし全くヒーローらしくない人物であった。まさに一人の職人として、自分の責任の取れる範囲で責任を取ってきた人物である。だがそれが自分の手に負えなくなった時に、彼のなした決断は大変重要なもの。たとえ普段は目立たなくとも、本当にやるべき時にやれる人間というのが一番尊敬できる人物であるが、そんな役を見事にこなしていた。

 ところで本作は私が大学時代、夜の放送で流していたものを観たのだが、たまたま友人と飲みながら観ており、そのまま徹夜で原発のことなど話し合ったもの。懐かしい思い出である(大学時代には結構よくやってたけど)。

(評価:★3)

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