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[コメント] タイム・マシン 80万年後の世界へ(1960/米)

19世紀の技術に感動しました。何がって?そりゃ勿論絶対古びないマネキンを作り上げた技術です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 H=G=ウェルズ処女長編となる原作の同名小説の初映画化作。原作ではエロイ族とモーロック族は支配されるものと支配するものという暗喩で示されていたが(この辺当時の植民地時代を批判しているウェルズの思想が見て取れるのだが)、本作ではそれをばっさりと切り捨て、モーロック族をカニバリズムのモンスターとして扱っており、思い切った冒険作品となっているのが特徴。

 物語そのものに関してはかなり単純化されているものの、ウェルズの皮肉さを完全に払拭することは出来なかったし、更に原子爆弾の脅威も付け加えられており、この時代に作られたにしては、なかなか冒険心に富む作品だったと思う。

 それにラストが良い。人間にとって生きているという実感はどこにあるのか。文明生活に囲まれ、便利な生活が出来るとして、皮肉な友人達の嗤笑に囲まれる生活を送るのか。それとも不自由な生活でも一緒に苦労しながら新しい時代を作っていく方が良いのか…その問いかけがここには隠されている。選ぶんだったらやっぱり…ね?

 ただ、本作の最大の功労点はストーリーよりもやはりイマジネーションにこそあった。レトロチックなタイム・マシンのデザインや、マネキンの服が替わることによって時代の変遷を示して見せたりと、その時代の描写も面白いが、80万年後の、何の意味があるのか分からないダクトやピラミッドの描写など、特に未来になってからのシュールな描写が映えている。あの三冊の本は一体何だったか?と最後に謎まで残してくれてる…それにしてもあの本は一体何の意味があったんだろう?

 それにやっぱりなんと言っても、手作り風の特撮と、着ぐるみプロレスというのは、それだけで私なんかは凄く嬉しくなってしまう訳だが。モーロックの弱さがちょっと不満点だが。

(評価:★4)

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