[コメント] 荒野の決闘(1946/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
名高いOK牧場の決闘を元にした小説を映画化した作品。
西部劇の傑作と名高い作品だが、正直な話、最初に見た時はその良さが分からなかった。既に同じ題材を使った『OK牧場の決闘』(1957)を観ていてストーリーが分かっていたし(『OK牧場の決闘』ではドクは生き残り、こちらでは死んでしまうと言う違いはあったが…事実はドクは実は生き残り、後にコロラドの療養所で死んでいる)、「愛しのクレメンタイン」の歌は良かったけど、なんだか普通の西部劇だなあ。としか思ってなかった。これ観た当時はヘンリー=フォンダの魅力が分かってなかったのも大きい。
でも、後になって少し考えが変わってきた。ひょっとしてかなり面白い作品なんじゃ?心境の変化だろうか?
それであくまで自分なりに分析をしてみた。
西部劇の魅力って一体なんだろう?
銃撃戦がそりゃ一番の見せ場には違いない。だけど、いくら派手にしたところで、似たり寄ったりの銃撃戦ばかりでは何と言うこともない。派手にすればいいってもんじゃない。それじゃ何か?と言われたら、現時点では私は男の強さと弱さの対比の演出ではないかと思っている。
悪に対してとことん強いくせに、女性の前ではシャイに、弱きものに対してはどうやってつきあって良いか分からず、戸惑う男。西部劇の秀作はその辺が上手く撮れてるんじゃなかろうか?西部の男は強いだけじゃ駄目で、とことん弱さを演出できてこそ本当に楽しくなるってか、私好みになる(『シェーン』(1953)がめっぽう面白く、逆に『大いなる西部』(1958)が全然面白いと思えなかったのはこれだろう)。
ここでのフォンダ演じるワイアットのシャイさはどうだ。クレメンタインと一緒にいたい。だけど、それを言うのはとても恥ずかしい。何とか彼女の気を引きたいけど、どうしたらいいか…そうだ。歌を歌おう!これを観た当時はなんだか歯がゆくてならなかったワイアットの心情を考えてみると、とても愛らしいじゃないか。この辺の演出が分かるまで時間がかかってしまったな。
本作の演出の良さはそれだけじゃなく、さり気なくフォンダの魅力を引き出している所も良し。あの早朝のポーチで椅子をゆらゆらさせてるのは、今思い直すと格好良い姿だった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。