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[コメント] ロード・トゥ・パーディション(2002/米)

良い作品とは思うけど、もしこれがオスカーを取ったら、アメリカは相当保守化が進んでると思う。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ギャングものは結構好き。なんと言っても『ゴッド・ファーザー』が凄いけど、それ以外にもやっぱりパチーノ主演の『スカー・フェイス』とか、デ・ニーロの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』とか。『アンタッチャブル』もあったな。名作が多いから結果的に観てるのかな?

 ギャングものの面白さは日本の任侠映画にも多少通じるのだが、掟と言うのがまずあって、時にそれに抗い、時にそれを利用して目的を果たす。と言うのが好き。前提条件として主人公に不自由を与えているからこそ、映える作りがある。

 本作品もその辺はちゃんと分かってはいるようだ。だけど、掟よりもむしろ家族愛とか、親子の絆の方を前面に出してしまったため、それはかなり弱められてしまい、強烈にそれを感じると言う程ではなかった。ギャングものの一番大切なところ、楽しいところを強調しないとは勿体ない作りだ。

 それで前面に出るのが親子の絆だが、何となく、この時代設定じゃなくても別に問題ないような気がする。仮に舞台を現代に置いても作りそのものはあんまり変えなくて済みそう。トム=ハンクスは事ある毎にインタビューで「今度は悪役」と強調してたけど、描き方は決して悪人じゃなかったし。

 アメリカン・ヒーローの特徴として、弱者を守る、その中でも特に家族は絶対的なものであり、家族を害するものは絶対に許さない。と言う典型的パターンがあるのだが(それで良い作品も勿論あるけど、パターンが分かりすぎる)、まさにハンクスのやっていることはそのまま。結局“悪人”ではなく、単純な“ヒーロー”になってしまったような…本人はそのつもりでも、あれを悪人として見る人はあんまりないんじゃないかな?

 あと久々に映画復帰のポール=ニューマン。凄く渋みが増していた。けど、彼じゃなきゃ出来ない役じゃないよね(何となくジョン=ハートとダブるんだけど、それは私だけ?)。殺し屋に扮するジュード=ロウはよく似合っていたと思うけど(彼は色んな役を演じるけど、やや狂気を帯びた役が一番似合うと思う)。

 役者も良いし、カメラ・ワークや効果も良い。だけど内容はベタベタのアメリカ人好みに仕上がってしまった。と言うのが正直な感想。★は3か4か迷ったけど、やっぱりそのひっかかりでこの点数にしよう。

(評価:★3)

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